皆さん、こんにちは。新横浜ヒロクリニック訪問診療の平田です。
今日は少しシビアなテーマですが、訪問診療における「お看取り」についてお話ししたいと思います。このテーマを選んだ理由は、日々の診療の中で多くのケースに向き合う中で、少しでも皆さんの参考になればと感じたからです。
理想的なお看取りとは
お看取りにはさまざまな形があります。理想的なケースの一つとしては、ご本人とご家族が「自宅で最期を迎えたい」としっかり意思を固め、その意思を訪問診療や訪問看護、ヘルパーなど関係各所がサポートする形です。
こうしたケースでは、ご本人とご家族が心の準備や必要な手続きを整え、穏やかに最期を迎えることができます。しかし、現実的にはそう簡単には進まないケースも多々あります。
現実的な課題
例えば、突然心肺停止の状態になった場合、救急車を呼び、救命救急病院に搬送されることがあります。救命医は命を救うことを目的に対応しますが、死亡診断書が書けないケースもあります。今年一部規制が緩和されましたが、初診で心肺停止の状態で来院された方については、死亡診断書を記載するのが難しい場合があるのです。
その場合、検視という手続きに進むことになります。検視では、事故や事件性の可能性を確認するため、警察署や監察医が対応します。場合によっては解剖が必要なケースもあり、すぐにご自宅へ戻れない状況になることもあります。
ご家族の想いと現実
生前に診てもらっていた先生に死亡診断書を書いてほしいと望まれるご家族も多いですが、病院での対応ではそれが難しい場合があります。このようなケースは、ご家族の気持ちや希望とは異なる形になりがちです。
いざその場面になると、どうしても気が動転してしまうのは当然です。しかし、こうした現実を少しでも知っておくことで、「あのときこうしておけばよかった」と後悔を少なくできるかもしれません。
準備と相談の大切さ
お看取りの場面に備えて、普段から心の準備や情報の整理をしておくことが大切です。不安な点があれば、診療スタッフや担当のケアマネージャー、訪問看護師に相談してください。私たち医療スタッフも、できるだけご本人とご家族の希望に寄り添い、サポートしていきたいと考えています。
このブログが、皆さんが大切な家族と望む形でお別れを迎えるための一助となれば幸いです。
これからも皆さんの暮らしに寄り添う訪問診療を目指していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。