こんにちは新横浜ヒロクリニック訪問診療 事務長 吉田です。
当院では在宅酸素療法を用いた利用者様がいらっしゃいます。
在宅酸素療法について、どういったものかをこちらにてお伝えさせていただければと思います。
※医療者や介護職の方々はご存じだと思いますので、ご了承ください。
在宅酸素療法について知っておくべきこと
在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy, HOT)は、呼吸機能が低下している患者様が自宅で酸素を吸入することで、日常生活の質を向上させる治療法です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎、心不全などの疾患により、血中酸素濃度が低下する患者様にとって、酸素療法は不可欠なサポートとなります。本コラムでは、在宅酸素療法の基本情報、使用方法、効果、注意点について詳しく解説します。
在宅酸素療法とは?
在宅酸素療法は、病院やクリニックでの酸素吸入治療を自宅で継続するための方法です。患者様は酸素濃縮器、酸素ボンベ、液体酸素タンクなどの酸素供給装置を利用して、日常生活の中で酸素を吸入します。これにより、酸素不足による息切れや疲労感を軽減し、より活動的な生活が送れるようになります。
酸素供給装置の種類
- 酸素濃縮器:空気中から酸素を取り出し、高濃度の酸素を供給します。電力を使用するため、停電時には注意が必要です。
- 酸素ボンベ:高圧の酸素ガスを充填した容器です。持ち運びが可能で、外出時に便利です。
- 液体酸素タンク:酸素を液体の状態で保存し、使用時に気化させて供給します。大容量で長時間使用が可能です。
使用方法と管理
在宅酸素療法を始めるには、まず医師の診断と処方が必要です。酸素の使用量(リットル毎分:L/min)や使用時間は、患者様の状態に応じて医師が決定します。装置の使い方やメンテナンスについては、専門の医療機関や酸素供給業者が指導を行います。
使用手順の例:
- 手洗いをして清潔な状態を保ちます。
- 酸素供給装置を設置し、正しく接続します。
- 医師の指示通りに酸素の流量を設定します。
- カニューレ(鼻カニューレ)やマスクを装着し、深呼吸をして酸素を吸入します。
- 使用後は装置の電源を切り、カニューレやマスクを清潔に保ちます。
在宅酸素療法の効果
在宅酸素療法には多くの効果があります。特にCOPD患者に対する長期酸素療法は、生命予後の改善に寄与することが科学的に証明されています。また、心不全患者においても、酸素吸入による症状緩和と生活の質向上が報告されています。具体的な効果としては以下のようなものが挙げられます。
- 息切れの軽減:酸素供給により呼吸が楽になり、日常活動がスムーズになります。
- 疲労感の軽減:酸素不足が解消されることで、体力が回復しやすくなります。
- 心肺機能の改善:適切な酸素供給により、心臓や肺への負担が軽減されます。
- 精神的安定:息切れや不安感が軽減され、精神的にも安定します。
注意点とリスク
在宅酸素療法にはいくつかの注意点があります。まず、酸素は可燃性が高いため、火気の近くでの使用は厳禁です。また、酸素供給装置の定期的なメンテナンスやフィルター交換を怠ると、装置の性能が低下する可能性があります。さらに、長時間の酸素吸入は、酸素中毒(ハイポキシア)を引き起こすリスクがあるため、医師の指示を厳守することが重要です。
具体的な注意点:
- 装置の周囲でタバコや火気を使用しない。
- 装置の定期点検とメンテナンスを行う。
- 医師の指示した酸素量や使用時間を守る。
- 酸素供給装置のトラブルが発生した場合は、直ちに医療機関や業者に連絡する。
日常生活への取り入れ方
在宅酸素療法を日常生活に取り入れるためには、家族や介護者の協力が欠かせません。家族も装置の使い方や注意点を理解し、患者様が安心して療法を続けられる環境を整えることが重要です。また、外出時には携帯用の酸素ボンベを利用するなど、生活スタイルに合わせた柔軟な対応が求められます。
外出時のポイント:
- 携帯用酸素ボンベを準備し、使用方法を確認する。
- 外出先での酸素補給場所を事前に確認しておく。
- 長時間の外出は避け、適度に休憩を取る。
サポート体制
在宅酸素療法を受ける患者様には、医療機関や訪問看護師、酸素供給業者のサポートが提供されます。定期的な診察やカウンセリングを通じて、治療の効果を確認し、必要に応じて治療計画の見直しが行われます。また、訪問看護師が定期的に自宅を訪問し、健康状態のチェックや装置の管理をサポートします。
まとめ
在宅酸素療法は、呼吸機能が低下している患者様にとって、生活の質を大きく向上させる重要な治療法です。適切な装置の使用と管理、医師の指示の厳守、家族や医療チームのサポートが揃ってこそ、効果的な療法が実現します。安心して治療を続けるために、日常生活の中での注意点を守り、積極的にサポートを受けることが大切です。在宅酸素療法を通じて、より健康で充実した生活を送ってもらえるような方法だと感じてもらえればと思います。